助産師だから気付けた!保育園で役立った視点と体験談

仕事内容

今回は、「保育園での助産師の視点」が役立った体験談について書きたいと思います。

保育園では助産師としてではなく看護師として働いているので、「助産師らしい仕事してるな〜」と思うことは正直ほとんどないのが現実です。

ただ、先日久々に「私って助産師なんだな〜」と感じたことがありました。

助産師として培った、妊娠中の経過や出産の状況から子どものことを考えるスキルが、児童票の改訂に役立ったエピソードについてお話ししてみようと思います。

児童票を見直したきっかけ

2024年から予防接種の4種混合ワクチンが5種混合に変更されました。

それに伴い、来年度に向けて予防接種の記録など児童票を見直してみようということになりました。

児童票は、保育園等で子ども一人ひとりの情報を記録する書類で、子どもに関する基本的な情報が記載されています。

予防接種の項目を直しているうちに、他の項目が気になってきました。

それが妊娠中の経過や出産にまつわる部分がとても少ないことです。

情報が少なすぎる児童票

私の園で使っていた児童票は、出生体重や「安産・難産」のチェックはあるものの、

妊娠中の異常の有無や、在胎週数、分娩方法、出生時の異常などは記載がありませんでした。

他のフォーマットを参考にしてみると、それらの項目も入っている児童票もあり、

これを機に項目を追加してみました。


個人的には、

0〜2歳の子を預かる上で、生まれた時に異常がなかったか、経膣分娩なのか帝王切開なのかは気になりますし、

入園前まで授乳はどのような状況だったのか?最初から母乳なのか、途中から混合なのか、保育園に預けるためにミルクに切り替えたのかも気になります。

そもそも安産・難産って漠然としすぎてるし、「安産」ってなんだろう?って思うんです。

児童票に安産・難産についての説明はないので

何十時間もかかっても、前向きに頑張って「安産」だった!と思う人もいれば、

比較的短時間の自然分娩でも、めっっちゃ痛くてあれは「難産」だった!

と思う人もいると思うし…

そういう主観的なことよりも、分娩方法や分娩所要時間、出血量などデータで知りたい。

(分娩をどう受け止めているかというのはまた別の意味でとても気になりますが。)

情報が少なすぎる!

と、気になることが山積みなのですが、

今回追加した項目について保育士さん達からは「なぜこの項目(妊娠・出産の情報)を追加するの?」と不思議そうにされ、

どんなふうに生まれてきたのか把握して、その子の背景を知ることはその子のことを理解するのに役立つと思います、

というような説明をしたら「へぇ〜助産師さんの目線だねぇ〜」と感心されました。

情報が少なすぎると思っていたのは私だけだったようです。

看護職(助産師)と保育士さんの視点の違い

そんなわけで、私が考える「当たり前」って保育園では当たり前じゃないんだなぁ〜という当たり前のことを気付かされたエピソードでした。

妊娠中や出産の情報からどんな妊娠期でどんな出産で、どんな育児を経て今に至るんだろう??

と色々妄想を膨らませるのは、助産師ならではなんでしょうね。

普通のことだと思ってました(笑)


保育士さん達は、今の子どもの姿を把握するのが仕事なのだとすれば、

私は助産師として、生まれる前からのその子の姿を想像することで、理解を深めるお手伝いができればいいなと思います。


あと、ふと思った看護職と保育士さんとの違いについてなんですが、

病院の看護師や助産師は患者さんをずっと自分が見るわけではなく、夜勤の人に引き継ぎ、また日勤に引き継ぎ、色んな人が関わっていきますよね。

だから、カルテを見て、家族構成や既往歴、産科であれば出産の経過や赤ちゃんの体重の増減、その他の記録などを読みながら、その人の背景を想像して関わっていくと思います。

保育園だと、多少早番遅番などはあっても担任があるので、

基本的には毎日保育士さんは見知っている子ども達に関わるわけです。

(担任を持たないフリーの先生など例外は色々あるとは思いますが。)

そうなると児童票などのデータから読み取るというより、自分がその子と関わってきた時間・経験があるわけで、そちらが優先されるのはもっともなんだろうなぁと思ったりしました。

胎児期・出生時のその後の子どもへの影響

その後、看護師同士の話し合いで、保育園で痩せや肥満の子に対する介入をどうするかという話をしていた時に、DOHaD(ドーハッド)説の話題にもなり、

やっぱり出生時の情報って大切だよねぇという話になりました!

※DOHaD説:胎児期や生後早期の環境が、将来の健康や病気にかかりやすさに影響を与えるという考え

胎児期のことが、赤ちゃんの将来に影響してくるってすごくないですか?

生まれてからがスタートではないんです。

生まれる前から、その子の人生はスタートしているんです。


実は私は大学の卒業研究でDOHaD説のテーマを選んでいました。

大学4年で看護師・助産師・保健師の国家試験がある中での卒業研究だったので、忙しくてとりあえず完成させることが目標という感じはありましたが、

なんやかんや大学時代から気になっていることの根っこは変わらないんだなぁという気持ちにもなりました。

子どもの「今」だけでなく、どんな背景があるのか、妊娠中はどうだったのか、どう影響しているのかと考えられる視点には、大学時代に学んだことが活きているのかもしれません。

おわりに

自分の当たり前の感覚は、自分にとっては当たり前すぎて気付けないので、気付くきっかけって大切だなぁと思いました。

保育園看護師3年目、まだまだ「看護師らしさ」「助産師らしさ」をどう保育園で活かしていくのかは試行錯誤中ですが、

「みなし保育士」として保育に入れる要員というだけでなく、

助産師、看護師としての考え方の違いを活かして子どもたちがよりよい環境で過ごせるように頑張っていけたらいいなと思っています。


保育園看護師へ転職を考えている助産師さんも、今の経験がきっとどこかで活きてきます。

助産師である自分に誇りを持って、仕事をしていきましょう!

感想等ありましたら、Instagramなどお気軽にメッセージいただけたら嬉しいです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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