シュタイナーのこどもの育てかた おとながこどもにできること

最近気になっているシュタイナーの考え方。

子どもの個性を大切にするシュタイナー教育は、自分の目指す子育ての考えに近いと感じていて、色んな本を読み漁っているところです。

今日はその中の1冊「おとながこどもにできること」を紹介します。

シュタイナー教育を学ぶ、という堅苦しい感じではなく、著者のパパとしての体験談も多いので、子育て中の方であれば楽しく共感しながら読んでいただける内容です!

親はこうあるべきというしがらみに囚われるのではなく、まっさらな気持ちで大人と子どものありかたについて考えさせられる内容でした。

こんな人におすすめ

☑︎ 子どもの気持ちを尊重した子育てをしたい方

☑︎ シュタイナー教育って何?と気になる方

☑︎ 子どもの関わり方の目線を変えてみたいなと感じている方

この本について

「NPO法人東京賢治の学校 自由ヴァルドルフシューレ」での「親のための講座」の内容をもとに再構築したものだそうです。

著者のローター・シュタインマンベルリン・シュタイナー教育教員養成ゼミナール代表の方です。

前の奥さんの間に子どもが5人、今の奥さんとの間に2人の子どもがいるパパである著者。

シュタイナーの教員でも、自分の子育ては上手くいくことばかりではない…という新米パパ感あふれるエピソードが多くほっこりしました。

ユーモアある文章で、読みやすく、その中でもハッとさせられるエピソードもありました。


翻訳された本ということもあり、漢字とひらがなのバランスもいい味出していて、身近に感じながら読めました。

「こども」「おとな」とひらがなになるだけでも、まぁるい感じがして好感が持てました。

目次

1

まえもって感じとる

いっしょにやってみる

あとからふりかえる

2

できないことを知る

気長でいる

奥まで見る

荷物を持つ

3

こどものじかん

4

カミナリはまっすぐ落とす

スリッパはおいておく

見て見ぬふりをする

まちがえる

味方になる

5

くるみをみつける

うたをうたう

おとながやってみる

ここからは、私が印象に残った言葉を引用していきます。

「こどもが本を読まない」という悩みについて、「もしお母さんが本が好きならほんのすこしでも時間をとって読むといい」というアドバイスがありました。

その文章がとてもあったかくて気に入りました。

お母さんが本が大好きで集中して読んでいると、こどもはそーっと見守ります。

なんだかぼくより本の方が大事みたい。

あのなかに、とんでもなく面白いことがあるのかも、とおもうかも。

本はたとえばの話です。

こどもって、おとなが、じぶんのからだの内側から、なにかに集中しているとき、話しかけません。

おとなのからだのなかにある静けさを聴いています。

いったいなにがそんなにおもしろいんだろう?

あそこになにがあるんだろう?

そんなおとなたちの姿から、生きてゆくための意志をしずかにうけとっていることがあるのです。

p17

私は本を読むのが好きで、多い時だと月10冊くらい読んでましたし、暇さえあれば本屋さんをぶらぶらして気になる本を探すのも大好きです。

しかし、子育て中はなかなか時間も取れず、時間があっても子どもに関係することを勉強したりして、自分の好きな本を読む時間はほとんどなくなりました。

でも、時間がないから読めない!と諦めるのではなく、少しの時間でも読もうとする姿勢を子どもに見せていくのも大事なんだなと感じました。

自由の境界線

どっちなんだろう?

心配なだけなのだろうか?

じぶんの内側にある、ある感情的なものを

こどもに押しつけようとしているのだろうか。

それともやっぱり、ほんとうに心配しなければいけないのなら、それはいったいなんだろう。

p40

この言葉が出てくるのは、16才の娘がデートに行き、門限を超えて帰ってこないことを心配するエピソードです。

迎えに行くべきか、知らんぷりして待ってるべきか葛藤するところにパパの愛が感じられます。


子どもに「だめ」とか「危ない、○○しないで!」と言う時、私は何を心配しているんだろう?と思うことがあります。

例えば、1歳前の息子がゴミ箱をひっくり返して遊ぶ時。

もちろん親としてはいやですよね(笑)

もう、やめて!ゴミ箱ひっくり返さないで!

と単純に思いますが、

それは何でやめてほしいんだろう?

私が片付けをしなきゃいけないから?

ゴミ箱に入ってる物が汚くて触ってほしくないから?

ゴミ箱につかまり立ちして転んだら危ないから?

じゃあ片付けをするならひっくり返してもいいのかな?

ゴミ箱の中に、触って危ないもの、飲み込んで危ないものがないならいいのかな?

私は何を心配すべきなんだろう?

…と考えると、「心配」の中には自分の勝手な気持ち「汚いからイヤだ」とか「面倒なことしないで」という気持ちが入ってるなと気づきます。

何を注意したのか大人の側が曖昧だと、子どもにも何がいけないのか伝わらず、子どもも失敗から学べないだろうなと思いました。

こどものやりたい気持ち「自由」とおとなの制限の境界は難しいですが、

なぜ、今子どもに注意したんだろう?私は何が心配なんだろう?と自分に問いかける姿勢を忘れずにいたいです。

環境としてのおとな

こどものふるまいのなかに、

じぶんの行ないをみつけられるか。

ここに親や教師の「おとなの学び」があるのだと思います。

こどもたちの行ないのなかに、わたしたち自身が映っている。

そこに「おとなの学び」の可能性がある。

p53

おとなはこどもにとって「環境」にすぎない、という言葉は、別の話でも出てきます。

親は「何かしてあげなきゃ」と思いがちですが、そういうことではなく、親として環境を整えるだけ、あくまでも環境だという姿勢ですね。

子どもとって、自分は今どんな親で、どんな環境を作っているのか?

何か期待や責任を押し付けて子どもの歩む道を邪魔していないだろうか?

という目線で考えてみることも大事だなと感じました。


じぶんのなかで解決していない問題(親との関係、じぶん自身や夫婦のことなど)を、じぶんのこどもたちにふりまかない、ということも大人としてのあり方だと書かれていました。

大人の荷物が重すぎて助けを呼ばなければいけないときも、必要なのはパートナーや専門家であって、

「こどもにはすでにこどものじぶん自身の課題がある」ので、親の荷物を背負わせるのはこどもではない、という言葉もありました。

ヤングケアラーなどの問題もありますが、こども時代にこどもらしい過ごし方をすることをもっともっと大事にしてあげなければいけないなと感じました。

毎日同じ散歩の道を通ること

3歳の子が一番興味を持つのは、旅行やイベントではなく「毎日同じ散歩の道を通ること」という話です。

最初この道を歩いて、ちょっと森に寄って、この信号の横断歩道をわたって森に入り、そして幼稚園に戻って来る…毎日毎日です。

とても驚かされるのは、おとなだけがそれを退屈だと思うということ。

こどもたちは、毎日、同じ道のりで新しい発見をしています。

おとなたちの課題は、そのことに気づき、「ふたをしない」で発見にかかわる注目をちゃんとさせてあげるということだそうです。

p74

子どもには色んな経験をさせてあげたいと思うものですが、「色んな経験」とは旅行やイベントに連れていくことではなく、

大人にはなんてことのない、日常のささやかな変化や発見が何よりの刺激なんですね。

息子と家の周りを歩いてると、近所のネコのアクビやしっぽを振る様子にも目をキラキラ輝かせ、ちょうちょを見つけると嬉しそうに体を揺らしながらちょうちょの歌を歌ってくれます。

どこにも出かけなくても、家の中や近所の散歩にも子どものワクワクが詰まっているということを忘れずにいたいです。

世界に向かうふたつの手

最初の問いとして、「これなに?」「グラスだよ。」

と何でも知りたがる時期があります。

そして、「なんでそうなるの?」「それはどうなるの?」「どうなってるの?」という問いが3〜4歳のふたつ目の時期なんだそうです。

先日、ちょうど2歳すぎの子と関わった時、「これ何?」「これは?」「これは?」と笑っちゃうくらいの質問攻めにあって、目の前にあるもの全てを知りたがる時期なんだなと感じました。


問いについて、本文中ではこのように書かれています。

問うということはとてもたいせつです。
それによって世界に対する興味をふかめていくことになるわけですから。

問いを発するということは、大人が答えを返すということよりもよっぽど重要なわけです。
問いを発するということは、目に見えない手がまわりに広がる世界に向かってのばされてゆくということです。

p161

「目に見えない手」って素敵な表現ですよね。

私は子どもの問いに答えて教えてあげることが大事なのかと思ってましたが、「問いを発する」ことが大事なんですね。

私はまだ息子が2歳前で、この時期にはなってないですが、「なんで?なんで?」と毎日聞かれると親としてイヤになることもあるかもしれません。

ただ、子どもが問いを発して、世界を知ろうとしている大事な時期だということを覚えておきたいと思いました。

「もっと深めたいと思うものに出会うことは、ほんとうにとてもたいせつなことなのです。」という言葉も印象的でした。

大人が、子どもの興味を持つ心を奪ってしまわないようにしていきたいものです。

じぶんがなにかをしたい、という内側からの気持ち

やろうというより、やらなければというより、やりたい、という気持ち。

これを枯れさせずに育むことがどんなにたいせつなことか。

それはおとなにとってもおなじです。

p172

以前読んだシュタイナーの本でも、子どもが「蒸気機関車」に例えられて、大人はそれに水をかけないようにと書かれていました。

子ども自身の熱、「やりたい」という気持ちを大切にすることが、シュタイナーの軸となる考え方なのかなと感じています。


余談になりますが、最近何でも大人のマネをしたがる2歳手前の息子。

台所でも、大人と同じように卵を割ったり、にんじんの皮むきをしたり、包丁で果物を切ったりしたがります。

ここで「だめ」と言い切って、台所に入らせないようにすれば安全ではありますが、子どもの気持ちは不完全燃焼になってしまうと思います。

刃物や火は危ないですが、話してることが伝わるようになってきたので、「危ないよ」「ここは触るといたいいたいだよ」と教えながら、

「やりたい」を尊重していきたいと思っています。

(とはいえ、気持ちに余裕がないと、「だから触っちゃダメって言ったでしょー!」と怒ってしまうので、まずは大人の私の気持ちの余裕が大事だなとひしひし感じます…。日々反省です。)

おわりに

子育て、育児にも色んな考えがあると思います。

何が正解、何が間違いということではないと思いますが、自分が共感できる考え方、理想の考え方が定まると、

自分の軸がしっかりして子どもへの関わり方がぶれなくなるんじゃないかな?と感じています。

私も子どもへの関わり方(しつけをどうするか、幼児教育って必要?やりたいことをどこまでやらせるか…など)悩んだ時期もありましたが、少しずつ方向性が見えてきた感じがします。

もちろん、また子どもの成長に合わせて悩みは変わっていくと思いますが…!

シュタイナー教育というのは、今私が一番興味を持っている考え方で、あくまでも一例ですが、みなさんにも自分に合う本や考え方が見つかるといいですね。

育児中は忙しいと思いますが、今だからこそ自分に響くことばがきっとあると思います。

本を読むのが大変な時、引用のことばだけでもじっくり味わっていただけたら嬉しいです。

1人でも多くの方に、素敵なことばが届くといいなと思っています。

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