今回は保育園の「身体測定と成長発達の記録の書き方」についてです!
身体測定は、保育園で毎月行っているところが多いと思います。
実施方法や記録の付け方、評価のポイントについて解説します!
新しく保育園看護師になった方や、何となく身体測定を行っているけどどう評価したらいいか迷っている方におすすめの内容です。
保育園の身体測定の目的
子どもの心身の状態に応じて保育するために、子どもの健康状態並びに発育及び発達状態について、定期的・継続的に、また、必要に応じて随時、把握すること。
と保育所保育指針に書かれています。
入園時の健康診断、年2回の内科健診は義務とされています。
月1回の身体測定は義務ではありませんが、園児の発育・発達状態を把握するためには、大切なイベントです。
体格は大きめな子、小柄な子など、個性がありますが、その子のペースで成長していれば問題ないです。
ただ、成長曲線の異常として肥満や低身長、体重増加不良などが見つかることがあります。
一人ひとりに介入して、栄養指導などをするのは現実的に難しいかもしれませんが、
虐待・ネグレクトによる体重増加不良の可能性があります。
保育所は虐待などの早期発見をするのも大切な役割なので、そういう意味でも身体測定は大事だと考えます。
定期的に見ることで、一時点の測定では見落としやすい成長の異常を見つけることが出来ます。
厚労省から出ている『乳幼児身体発育評価マニュアル』では、乳幼児の身体計測の方法だけでなく、体重増加量の評価や「やせ・肥満」の評価、実際の異常の例など、様々書かれているので、ぜひ一読ください。
身体測定の方法
身長計・体重計の準備
まずは身長計・体重計を準備します。
体重計は感度が10g単位以内のものを使用します。
0歳児の測定をする場合は、横になって身長・体重が測れるものを使用します。
↑私の保育園では、このようなトレーを付けて0〜1歳児を測定しています。
1歳児の安定して立てる子〜2歳児は取り外して立って測定できる体重計を使用しています。
身長計は乳幼児用(仰臥位式)と学童用または一般用の2つが必要です。
尺柱が直角になっていて、横規(頭に当たる部分)がなめらかに滑るかどうか確認しましょう。
また、記録する用紙とバインダー、ボールペンを準備します。
(前の月との変化を見たいので、全園児の毎月の値を一覧にした記録用の紙を使っています。)
子どもへ説明
バタバタしているとゆっくり説明できないこともありますが…身体測定をする前に子どもたちに説明をします!
今年度から、この絵本を取り入れて伝えています。
身長測定、体重測定の2冊あり、どちらもユーモアあふれる絵本です!
2歳児の子どもたちも集中して聞いてくれていました!
1〜2歳児向けの声がけとしては、
「今日はみんなの身長と体重を測ります。どれくらい大きくなったか見てみようね。」
という感じで声がけしてます。
事前に身体測定のイラストを見せたり、身体測定に慣れている大きめの年齢の子からやって見本を見せてもらうのも良いと思います。
(初めてだったり、慣れていないと怖がって泣いてしまう子や嫌がる子もいます。)
計測の実施
体重の日内変動を考えて、毎回同じ時間帯に測るようにします。午前中の計測が望ましいそうです。
私の園では、おやつ後の9:30頃行うことが多いです。
保育士さんに都合の良いタイミングを確認して行っています。
計測と記録をするのに2人いると安心です。
身長⇨体重の流れで、計測します。
確認するポイントとしては、
- 身長が前回よりも伸びていること
- 体重が著しく減っていないか
…を大まかに見ます。
身長が縮んでいる場合は、測り方が正しくない場合(身体がななめになっていた等)があるので、もう一度測ります!
身長を測るポイントは、
①かかとをつけて足を30度に開く
②かかと・おしり・背中を柱につけて両手は自然に垂らす(胸をあまり張らないようにする。)
③顎は引き、正面を見て、耳と目が水平になるようにする
のが理想です。
子どもが嫌がって測定できないこともあります。計測が難しい時は、別の機会に測定します。
後日、身体測定日にお休みだった子と一緒に測ったりしています。
体重は、風邪や胃腸炎など体調によっても横ばいになったり、少し減ったりすることがあるので、その子の背景まで考慮できるといいですね。
結果の見かたと記録
カウプ指数について
保育園で覚えておきたい体格指数が「カウプ指数」です!
大人ではBMI(Body Mass Index)で肥満度を見るのが一般的ですよね。
乳幼児は「カウプ指数」、学童期では「ローレル指数」を使います。
「カウプ指数」は「体重(g)÷身長(㎝)÷身長(㎝)×10」で計算できます。
BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)なので、単位は違いますが似ていますね!
カウプ指数の基準値は15~18で、数値が大きいと肥満、小さいとやせ傾向になります。
年齢によっても大きく変化していくので、肥満の判定については「肥満度」を用いるのが良いと思います。
肥満度について
肥満度は日本小児内分泌学会のHPで、Excelに入力することで計算できます!
標準体重からどれくらい異なるか、という指標になります。
+30%以上の「ふとりすぎ」からー20%以下の「やせすぎ」まで6段階あります。
保護者に伝える際にも具体的に数値やグラフで説明すると説得力が増すかなと思います。
肥満について詳しく知りたい方は幼児肥満ガイドも参考にしてみてください。
幼児期からの肥満対策の重要性や、肥満の判定法、問題点や対策など専門的なことが詳しく書かれています。
低身長について
身長が-1.5SD以下になると要観察となり、-2SDになると「低身長」に該当します。
-2SDを切ったら、病院受診の目安になります。
記録
私の保育園では「CODMON」というアプリを使用していて、身体測定の結果はアプリで配信しています。
そのため、身体測定後はアプリへの入力作業があります。
コドモンでの身長・体重・カウプ指数の成長曲線を見て成長発達を把握しています。
ちなみに保護者からは身長・体重のグラフは見れますが、カウプ指数や成長曲線は見れないので、自分の子がどうなのかはわかりづらい現状です。
必要な時はグラフで示して伝えることが必要だなと感じています。
比較的短期間でパーセンタイル曲線を下向きに2つ以上横切る体重増加は、医療機関の受診が勧められます。
主な原因は栄養摂取不良で、その他低出生体重児、基礎疾患、不適切な授乳、ネグレクトなどが原因となります。
引用・参考文献:乳幼児身体発育評価マニュアル
評価
発育には個人差があります。子どもの状況を総合的に見て、発育の評価を行うことが大切です。
先日の研修で、毎月の結果を「点」で見て、なんとなく終わらせてしまわずに、成長曲線を付けて「線」の評価をすることが大切だと学びました!
早く気づいたことで成長ホルモンの投与を行い身長が伸びたという例や、身長が伸び悩んでいるのは悪性腫瘍が原因だった症例などを知り、1人1人の変化を見逃してはいけないなと感じました。
成長できるのは小児期だけなので、早期発見・早期治療することが大切なんですね。
必要な場合は、園医に相談して一人ひとりに応じた保健指導・栄養指導ができるのが理想ですね。
成長発達については、当然ながら食事のことが絡んでくることが多いです。
保護者との協力も必要になってきますが、保育園での給食の関わりも大切になってきます。
食べない子、偏食の子など給食での声がけなど、悩んだ時はこちらのサイトもとても参考になります↓↓

おわりに
保育園の身体測定ってどんな感じ??何を基準に数値を判断したらいいの?とわからないことだらけでした。
私は普段保育に関わることは少ないので、身体測定で子どもと関わる貴重な機会になります。
最初は身体測定を泣いて嫌がっていた子が、数ヶ月後にはすんなり測らせてくれたり…
子ども達が順番を守って待ってる姿を見ると成長を感じます。
身体測定は子どもの成長を見れるいい機会なので、大きくなったね!と子どもと一緒に喜べたらいいなと思ってます!
そして、測って終わりではなく専門的な目で成長曲線を見ながら、子どもたちの成長を見守っていけたらいいなと思っています。
これから保育園で働く方などの参考になれば嬉しいです!
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