「子育てを元気にすることば」というタイトルに惹かれて図書館で借りてきた本です。
息子のイヤイヤ期で、母として元気は元気だけど疲れてるなぁ…と感じることもあり、この本にすごく元気をもらいました…!
親向けの言葉もあれば、保育や子どもを育てる社会に対する言葉も引用されています。
子育てをしている方ももちろん、保育に関わる方や子育て支援に関わる方も読んでいて新たな視点をもらえるような本だと思います。
ちょっと最近子どもと向き合うのが辛いなぁ…
どう子どもに関わるのが正解なんだろう…
と悶々としている方へ、心の処方箋のような存在になるかもしれません。
この本について
著者の大豆生田啓友さん(マメ先生と呼ばれているようですね!)は、幼稚園教諭で、乳幼児教育学・保育学・子育て支援を専門にしている方です。
育児本って相性があるなぁといつも感じていて、理想論や上から目線のアドバイスだと「こっちだって頑張ってるんだよ!!」と反論したくなるし、
あまりに堅い文章だと、なかなか読んでも実感がわかなかったり…。
この本は3人の子どもの父である著者が、育児を頑張る人と同じ目線で書いた本だなと感じました。
完璧な育児をしているわけではなく、子育ての中でうまくいかないことも多く、「こんなはずじゃなかった」の連続だったと話しています。
悩みも乗り越えてこその「子育ての素晴らしさ」は共感の連続で、「もっと子どものこと大事にしたいな」「子育てを楽しみたいな」と素直に感じられる内容でした。
ハウツーの育児本が多い中で、このような子どもと向き合うことの本質を問うような言葉に出会うと、普段の私の関わりってどうなんだろうと襟を正したくなるような気持ちになります。
臨床心理の第一人者や、日本の幼児教育の父と呼ばれる倉橋惣三さん、絵本の編集や執筆に関わる松居直さん、詩人の工藤直子さんの詩、アンパンマンの作者やなせたかしさんの言葉…など色んなジャンルの言葉が紹介されています。
幼児教育など、子どものことをとことん考えた方の言葉が引用されているので、「もっとこの人の考え方を知りたい」と学びの入口にもなりました。
まずは、下に載せた目次の言葉をじっくり味わってみてください…!
目次
第1章「子育てっていいな」のキモチを取り戻そう。
- 悩みの多かった私の子育て・保育
- 子どもはちゃんとわかってる
- 励ましのメッセージはありとあらゆるところに
第2章 子育てに悩むあなたへのことば。
- 「いま」を充実して生きることが、豊かな未来につながる
- 教育者も専門家も、子育てにおいては誰もが素人
- 子育てに正解はありません。だったら楽しまなきゃ!
- ひとりで悩まないで。きっとわかってくれる誰かがいるから
- だいじょうぶ。感情的になることにも、ちゃんと意味がある
- 「笑っている父親」が、みんなをハッピーにします
- 「うしろ姿」にも子どもは親の愛を感じる
- 絵本の読み聞かせは親の愛を伝える
- 絵本・昔話は「人生の知恵」を教えてくれる
- 楽しい食事がいちばん!幸せな記憶が心に刻まれます
- 小さなころの話を家族で何度も。幸せを実感する時間です
- 子どもの困った行動は、大人に向けたメッセージ
- 子どもを人間として見ることが自尊感情を育てる
- 子どもは「正しさ」を求めていません
- 親からの「愛情ある期待」が、将来の希望を育む
- 子は親の鏡。ハッピーの連鎖のスタート地点になろう
第3章 子どもの本質をひも解くことば。
- 「こどものじかん」は豊かな人生の根っこです
- 赤ちゃんは、泣いたり、笑ったりして、親の愛情を引き出す
- 子どもはヒーローに自分を重ねて勇気をもらう
- 「ちょっとだけ」でもいいのです。1対1の時間を
- 「ありのまま」愛された実感が、困難を乗り越える力になる
- 子どもは、見えない存在から愛されることを信じている
- 子どもたちの言葉は希望を与えてくれる
- 私たちは、あるだけ、いるだけで祝福されるべき存在
- 障害のある子の行為の意味が見えると、愛おしく思えてくる
- 葉っぱにも子どもにも、それぞれの個性を見つけよう
- 子どもと共にあることが、大人の希望になる
- 子どもには「100の言葉」「100の世界」がある
- 子どもは「遊び込む」ことでよさが発揮される
第4章 子どもを見つめる保育者のことば。
- あなたらしい保育を子どもとつくってみよう
- 「よろこびの人」になって、子どものための「小さき太陽」に
- Nobody’s Perfect ありのままの自分でいこう
- 人生で大切なことは「園生活」の中に埋まっている
- 「手がかかる」とは、たくさんの愛を与えること
- 「わがまま」とは「自分のまま」である
- 「子どもごころ」の愛おしさに大人の方が支えられる
- 「こだわり」にはゆっくりつきあって
- 子どもが「虫眼」を持てる環境をつくろう
- 「学び」への探究心は「遊び」で芽生える
- なぜ泣くの?ではなく「心もち」に共感しよう
第5章 子どもと社会を導くことば。
- ひとりの子どもを育てるには村中みんなの力が必要
- 現代版「群れ子育て」「まち保育」をつくろう
- 妊娠期からの手厚いサポートが幸せを呼ぶ
- 父親、それは地球上で最高の仕事
- 子どもは「憧れ」を持つことで豊かに成長します
- 「知る」より「感じる」を。センス・オブ・ワンダー
- ビジネスの原理と子育ての原理は違います
- その次の一歩だけを考えて。スローな生活を大人にも
- 自由と尊厳が、幸せに生きる秘訣です
- 私たちは本当に「子どもというもの」を知っているだろうか?
- 小さなケガが、心も体も大きく成長させる
- 政治と社会に「子どもの権利」を位置づけましょう
- 保護者も一緒にはじめよう!地域の子育て支援
第6章 子どもと共にある「幸せ」を広げよう
- 育ての心とはー目の前の子どもに応じること
- 大人も子どもも幸せになるための子育て(保育)とは?
- 子どもと共にある幸せの連鎖
- 子どもが幸せを与えてくれる
目次の言葉だけでも、元気が出てきませんか?
引用が良い言葉なのはもちろん、それに対する著者のコメントがすごく響くんです。
心に残ったフレーズが多すぎて、紹介しきれないんですが、いくつか紹介していきます。
目の前の子どもを見る
今は、ネットで正しい子育ての方法を検索する情報社会になりました。
「正しい子育て」「正解は何か」と「正しさ」に追われていく子育ての辛さに心当たりある方も多いんじゃないでしょうか。
そんな方に知っていただきたい言葉がこちらです。
子育ては、あなたと子どもとで好きなようにやればいいのです。だって、それは、あなたと子どもで作る世界で一つだけの作品なのだから。
p134
正しいかどうかと考え始めると、子育てが楽しめなくなってしまいます。
ネットの情報よりも、目の前の子どもを見ること、そしてその子が今何に心を動かしているのかを理解し、育ててあげることが大切なんですね。
「世界で一つだけの作品」と思うと、もっと自由でいいんだなと思えてきませんか?
正しさよりも機嫌のよさを
『母親の機嫌がよいことが子どもの健全な成長に影響を与えることが明らかになっている』と書かれています。
情報が溢れる中、少しでも我が子に良いことをしてあげたいと「よい母親」になろうと思っている方も多いと思います。
でも、それよりも「機嫌のよい母親」が最もよいのだそうです。
一緒に過ごす大好きな大人が機嫌よくいることが、子どもに幸せを与え、ポジティブな成長を促すのだと考えられる。
p135
親が感情的になることも時には大切だと思いますが、いつも心が不安定だと子どもは親の顔色を伺う「良い子」になってしまいます。
子ども時代は「良い子」にならず、わがまま、あるがままでいられることが大切です。
そのためには親の機嫌の良さが大事なんですね。
私も、いい親になれるかどうかはわかりませんが、なるべく穏やかに、機嫌よく過ごすことなら何とかできるかなぁ?と思いました。
また、習い事や早期教育についてですが、
早くからの習い事は、思うほど結果がでなかったり、わが子の成績が気になっていらだったり、子どもは親から承認されていない不安感に襲われる…という負のスパイラルになる可能性もあります。
p135
という言葉がありました。
私がこれまで読んできた本でも、同じようなあまり早くからの習い事はさせない方がよいという考えのものが多く、SNSなどの情報とはギャップがあるなと感じました。
(ネットでは少しでも賢い子になるようにと、さまざまな早期教育、幼児教育の宣伝を見かけますよね。)
習い事も、ネットの情報に左右されずに、子どもがやりたいことをやらせるという一番大事な考えを見失わないようにしたいです。
子どもが幸せを与えてくれる
心に響いたのは、最終章のこの言葉です。
親や保育者をやっていると、子どもと共にいることがツライと感じることもあるでしょう。
でも子どもがいない毎日を考えてみてください。
あんなに小さなことで、コロコロと笑い転げ、笑顔になる人が他にいるでしょうか。
あんなに小さなことで感動し、純粋な目をする人がいるでしょうか。
(中略)
幸せを与えられているのは、こちらなのです。ちょっと見方を変えてみると、そんなことに気づかされます。
p139
子どもとの日々を振り返って、本当にその通りだな……としみじみ思いました。
子どもがいなかったら、日常のちょっとしたことすら大変なバタバタした毎日はなかったかもしれません。
でも、子どもの成長に気づいたり、たどたどしくも会話らしくやりとりができるようになってきたり、やさしくニコッと笑いかけてくれたり…
ふとしたところにたくさんの幸せがあります。
大変なことも多いけれど、子育てには幸せもたくさん詰まっています。
その気持ちを忘れずにいたいなと初心に帰る思いでした。
そして、子育ての幸せな部分にもっと目を向けて発信していきたいなと思いました!
病後児保育のこと…
最後に、「病児・病後児保育」に関する言葉で気になったところを紹介します。
今私の職場では病後児保育に加えて、最近病児保育が始まりました。
これまでの割と元気な病後児保育と違い、具合悪い中、見知らぬ場所に預けられる病児保育に関わるようになり、
子どもの負担と保護者支援をどう両立していくべきなのか、病児保育はどうあるべきなのかと考え始めたところでした。
そんな時に、
母親が子どもを育てながら働くことが当たり前にできない社会の中で、労働力として重視され、家計をささえる人として働くことを強いられている状態の中で、結局、犠牲になっていくのは子どもなのだ。
p127
「犠牲になっていくのは子ども」という言葉を読んで、
「あぁ、本当に…そうだよなぁ……。」と胸が痛くなりました。
保護者支援も大事だけど、子どものこともちゃんと考えなきゃいけないし、そのためには病児・病後児保育施設が頑張るだけじゃなくて、子育てする人たちが適切に休める環境を作ることが大事だなぁ、と色々考えさせられました。
病児・病後児保育ももちろん必要なことだと思ってますし、私も仕事として預かる以上は責任を持って最大限子どもがのびのび過ごせる環境を作りたいとは思っています。
でも、やっぱり親には叶わないんですよね。
親の安心感、自宅で休むゆったりした気持ち。
それはどうしても、初めて行く「病児・病後児保育施設」では難しいんです。
本当に必要な時に預けられる場所を作るということと並行して、必要な時に親が休める環境(職場の制度や理解)も整えていく必要があるんだなと改めて感じました。
おわりに
私は本を読むのが好きなんですが、小説でもその時の気分によってすごく共感できたり、心に残ったり、物語に没頭して気分転換になったり…ということがよくあります。
物語自体は変わらなくても、読む時の自分の心もちによって感じ方は変わるんですよね。
この本も、きっと読む時の気持ちによって、違う言葉がぐっと心に響いたり、ぐさっと刺さったりするんだろうなと思います。
そんな変化も含めて、また読み返してみたい大切な1冊になりました。
子どもと向き合う人の、心の処方箋のようなこの本に出会えてよかったです!
最近ちょっと元気が出ないな…という方、ぜひ読んでみてください!
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