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助産師あやか(@mw_ayaka)です!
今は保育園看護師として働いていて、月1回程度べビママヨガの講師をしています。
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私は、保育園で働き始めて丸2年になりました。
昨年はオンラインでキャリアアップ研修の保健衛生・安全分野を受講しました。
キャリアアップ研修の概要と保健衛生・安全分野の感想はこちら↓
今年は「障害児保育」分野を受講しました。
全部で8つある分野のうち、どれを受講するかは、保育園側で決められています。(私の園の場合です。)
私は病児・病後児保育の担当で、発達障害の子や医療的ケア児の子と関わるわけではないので、「障害児保育」を学んでどこまで仕事に活かせるかな?と思っていた部分もあったんですが、
受講してみると、初めて知る概念や新しい考え方に触れて、学びも多く、同僚に前のめりで感想を話したくなるくらい有意義な研修でした。
自分で受講できる分野を選べるというのもいいなと思うのですが、保育園側から自分にこういう勉強をすることが求められているんだなと思うと、それもまた自分での選択とは違った良さがあるなと感じました。
内容
1日目
- 障害の理解
- 障害児の発達の援助
- 障害児保育の指導計画、記録及び評価
2日目
- 障害児の発達の援助
- 障害児保育の環境
- 家庭及び関係機関との連携
- レポート提出
全体の感想
対面の研修って楽しい!
昨年はオンラインでの自宅での受講で、今回は対面での研修でした。
(日程や定員、シフト等の都合で私の保育園は対面とオンライン半々でした。)
オンラインで15時間の受講は淡々と終わったなという感じだったんですが、今回は久々に丸2日間も座学で講義を受けられて、すごく楽しかったです!!
対面だと、講師の先生も飽きないようにと工夫をしてくれていたり、グループワークがあって近くのベテラン保育士さんのお話しを聞いたりも出来ましたし、
その場でメモを書いて先生が次の時間にコメントしてくれるという粋な試みもあって、密度濃く学ぶことが出来ました!
中でも、印象に残っている体験があります。
白紙の紙を2枚渡されて、お題に合わせて◯秒で絵を書いてもらいます、と言われました。(確か15秒くらいだったかと思います。)
難しいものだったらどうしよう?と絵の苦手な私はドキドキしていました。
1問目。
『「りんご」の絵を書いてください。』
なーんだ。りんごなら書ける、よかったよかった…と平凡ながらにりんごの絵を書きました。
※イラストはイメージです。
次、2問目。
『「しっかり」の絵を書いてください。』
しっかり??「しっかり」した何かの絵を書けばいいのかな?
うーん…なんとも難しい…。
考えているうちにあっという間に時間になりました。
書けないで終わってしまった人が大半で、一部母から「しっかり!!」と言われている子どもの絵とか、しっかり結んだリボンの絵を書いたりしていた方達もいたようでした。
何が言いたいかというと…
その時感じた「どうすればいいんだ??」と戸惑った感覚が障害を持った子の感覚に近いんだという話でした。
当然伝わるだろうと思っている言葉でも、受け取り方によっては、どうしていいかわからない。
相手に伝わる方法で伝えるって大切なことだなと改めて感じました。
「障害児保育」で学ぶ範囲の幅広さ
「障害児保育」と言われるとどんな子どもを想像しますか?
私は自閉症やAD/HDなどの発達障害のイメージが強かったんですが、思った以上に話題は幅広かったです。
「新しい障害児保育の範疇」として、
視覚障害・聴覚障害・言語障害・知的障害・肢体不自由・病弱・医療的ケアの子ども・外国にルーツをもつ子ども・貧困/虐待環境下の子ども・発達障害・情緒障害の子ども
…と説明されていました。
インクルーシブな保育という言葉が聞かれるようになってきましたが、これらの色んな障害を持った子どもを包み込む(インクルーシブ)ためには、私たちの考えかたや環境を変えていかなきゃいけないなと強く感じました。
私が普段関わっているのは、病児保育の子なのですが、病児保育にも発達障害の子やさまざまな障害を抱えた子が来る可能性は十分あるので、しっかり基本的な知識を身に付けて、受け入れる準備をしておく必要があると思いました。
印象に残った内容
「障害は環境がつくる」
印象に残ったのが、研修の冒頭で話された「今はたまたま健康体」という話です。
先生から「今あなたは障害がありますか?」
と聞かれて、隣の人と意見交換しました。
今は障害はなくても、妊娠すれば制限される動きがあったり、年齢や病気で出来ないことも出てくるかもしれません。
余談ですが、私は2年ほど前階段から落ちて尾てい骨骨折をして、一時期かなり不自由な生活でした。立ち座りにも時間がかかるし、ちょっと角度を間違うとビリビリ!と痛みが走るので慎重に動いていました。雪かきや重いものを運ぶ作業なども免除してもらっていました。
あの時期の自分は、ちょっと「障害がある」状態だったなと思います。
健康って当たり前のようで、ちょっと損ねると途端に生活が不便になってしまって、健康なうちから自分の体を大切にしなきゃなあと思ったりします。
ちなみに、背が高い・低いという認識も、周りの環境によってできたイメージや固定概念によるものだそうで、環境の影響を受けているものはすごく多いんだなと感じました。
また、ある印象的な外国のCMを見せていただきました。
それは、障害者だけの世界で、ボタンやスイッチの高さは車椅子の高さ、窓口の人は手話、図書館は点字の本のみ…という世界です。
その中でたった一人の健常者は、逆に世の中の高さに不便を感じ、手話はわからず、点字の本は読めず、障害を抱えるというストーリーでした。
健康でも、環境が変われば「障害」になりうるんですよね。
例えば、普段話す言葉は問題なくても、海外旅行に行って言葉が通じなければ言語障害を抱えてしまいます。
障害や課題は刻一刻と変わっていくものである、ということや、
「害」は個人と環境の間にあるのだということがすごく実感できました。
子どもに対しても、周りの環境を調整することでなるべく過ごしやすくするという考え方を学びました。
「個性」と「特性」は違う
「個性」を大切にする、と聞くと良いことのように思いませんか?
聞こえの良い言葉の中にも落とし穴があるんだと知りました。
研修の中で例に挙げられていたのが、AD/HDなどで見られる「忘れっぽい」ことについて。
「あの子は忘れっぽいのが個性だよね」
「個性だから認めてあげましょう」
と言ってしまうと、その子は忘れっぽいことで責められることはなくなるかもしれませんが、
それ以上「忘れっぽい」ことは改善されません。
もしも「その子=忘れっぽい子」としてではなく、一つの「特性」として関わることができれば、
この子は忘れっぽいことがあるから、伝える時は一気にたくさん伝えるのではなく、1つずつ伝えようといった具体的な方法を考えることができるのではないでしょうか。
他にも、臭いを敏感に感じて部屋の芳香剤だけでも不快になるという子や、大きな音に敏感な子、
私たちが自然に行っている光の量の調整が上手く出来ずに光に敏感な子、など様々な「特性」を持つ子がいることを知りました。
気にならない人にとっては「それくらい?」と思うようなことでも、気になる人にとっては重大なことがたくさんあって、
病気の特性を正しく理解することはすごく大切なんだなと感じました。
また、あの子は自閉症だから、などと病名でひとくくりにせず、その子自身が特性を持ち、どんなことに課題を感じているのかを考える必要があると思いました。
「困った行動」の裏側を読み取る
グループワークの中でも、ベテラン保育士さんからは「困った子」の話が色々出てきました。
あの子はいっつも行動が遅くて本当に困った…
一番最後になって先生に声かけられないと動かなくて…
等々のお話しを聞かせてもらった後、「困った行動」の裏側を考えるワークがありました。
私たちの行動には意味があって、メリットがある行動か、その行動によって何かを避けるための行動をしているのだそうです。
例えば、スーパーに行ってついお菓子コーナーに寄ってしまうのは、もしかしたら季節限定のお菓子があるかもしれない!と期待するからだろうし、
天気予報を見て傘を持って行くのは、びしょ濡れになるのを避ける行動になります。
子どもの行動では、「Aくんが先生が話している時に大声を出す」という例についてグループで話しました。
最初は「ただ邪魔したいだけでしょ!?」という意見が出ましたが、話し合う内に、
・大声を出すことで先生や友達の注目を浴びられる。
・先生の話を中断できる(もしかしたら先生が話しているのがやりたくない課題かもしれない)
という意見が出て、
もしかしたら、Aくんは大声を出さないと注目を浴びられないと思っているのかな?
お家でも、なかなかパパやママから自分のことを見てもらえてないのかな?
兄弟の状況はどうなんだろう?
Aくんは何を苦手に感じているんだろう?
という話に変わっていきました。
最初は「Aくんって困った子!」と表面だけ捉えて終わっていたのが、その行動の裏側を考えることでAくんの背景を考えられるようになって、
今後のAくんへの声がけや、保護者との関わりは確実に変わっていくと思います。
一見マイナスな行動に対して、どんな理由でその行動をとったのか、その行動によってAくんは何が得られたのかと考えるのは難しさもありましたが、大切なワークだったなと感じています。
「困った行動」に対して、
もしかしたら、欲求を伝えたいのかな?
我慢できない音や感触があるのかな?
「状況」がよくわからないのかな?
予定通りに進まないのがいやなのかな?
など、「困った行動」の裏側を読み取り、行動の背後にある「意味」を探ることを大切にしていきたいと思いました。
「二階建ての支援」
インクルーシブな保育環境のために必要なのは「二階建ての支援」です。
1階は「基礎的環境整備」で、入園・入学前の問題解決です。
バリアフリー化や、職員の障害理解など、できる限り対応可能な子どもの間口を広げておくことが大切になります。
2階は「合理的配慮」で入園・入学後の問題解決です。
基礎的環境整備ですべての子どもに対応するのは難しいので、入園相談の段階や入園後に、特性・個性に応じて問題を解決するのが「合理的配慮」になります。
TEENSさんの画像を引用させていただきました。
左下の絵のように、最初から金網のネットにしておくのが「基礎的環境整備」で、
上の図の一番右のように、必要なところに必要なだけ支援をして、頭の高さを揃える、スタートラインを揃える「公正」が合理的配慮のイメージです。
大切なのは、合理的配慮は「特別扱い」ではないということですね。
余談ですが、2024年10月からNHKで放送されていた「宙わたる教室」、すごく好きなドラマで楽しく観ていたんですが、その中にもディスレクシア(識字障害)のことも出てきました。
登場人物の柳田くんも漢字が読めなくて、お前小学生か?と職場の人に馬鹿にされたり、口頭では答えられるのに文章題は解けなかったり…。
努力が足りないと勘違いされて、悔しい思いもたくさんしてきたようです。
それが「ディスレクシア」だとわかってからは、専門の学校に通ったり、授業でも教科書の読み上げアプリを使ったりしながら勉強している様子がありました。
授業中にイヤホンしてタブレットをいじっていると、まるでサボっているように見えてしまって非難の対象になってしまいますが、
それが障害のために必要なものだとわかると見え方も変わってきますよね。
実験の楽しさに目覚めて一生懸命に打ち込む姿には、胸が熱くなりました。
目に見えるものばかりではなく、目に見えづらい障害もたくさんあるので、偏見を持たずに受け入れられるようになっていけばいいなと思いました。
参考文献
研修の中で紹介されていた資料を少しご紹介します。
絵本
ヨシタケシンスケさんの「みえるとかみえないとか」
伊藤亜紗さんの『目の見えない人は世界をどう見ているのか』をきっかけに、つくった絵本なのだそうです。
本屋さんで見かけたことはあったんですが、手に取ったことはなく、今回初めて読みました。
いろんな宇宙人が出てきて、子どもも面白く読める内容です。
「視覚障害者を理解する」という堅苦しい感じではなく、いろんな見え方の人がいるよねー。いろんな人がいていいよねー。という考え方がすっと入ってきて、はっとさせられる絵本でした。
この絵本が生まれた背景などについて語られている対談もとても面白かったです!
よかったら一緒に読んでみてくださいね。
テキスト
保育士等キャリアアップ研修テキスト3 障害児保育
こちらはキャリアアップ研修の公式のテキストになります。
実際講義を受けられるのが一番かとは思いますが、なかなか機会のない方や、内容を知りたいという方は手に取ってみてはいかがでしょうか?
ライフステージを見通した障害児保育と特別支援教育
こちらも研修の休憩時間に少し読ませていただきました。
全部は読めなかったんですが、実際の体験談や講義の中でも話してくださった事例がたくさん載っていて、生々しいくらい中身が濃い本だと感じました。
上辺だけではなく、人と人とが全力で向き合ったからこそ生まれる化学反応のようなものが詰まっているなという印象です。
おわりに
今回は、私の感じたことを中心にして、障害児保育についての断片的な内容になっています。
この記事を読めば障害児保育の全体像がわかります!という内容を目指していましたが、簡単にまとめられる内容ではなく、それぞれの障害の詳しい内容についてはとても書ききれないので触れませんでした(汗)
自分には直接は関わらないかな?と思っていた「障害児保育」でしたが、他人事ではなく、新しい世界の見方を教えてもらった大切な時間になりました。
きっと、そのつもりはなくても障害に対する偏見や差別的な意識はそこら中に溢れているんだと思います。
「障害のあるなし」、ではなく何に困っているのか。
「あの子は発達障害なのか否か」、を考えるのではなく、どんな関わりをしてその子を伸ばしていけるのか。
そういう考え方を大切にして、心のバリアフリーを目指していきたいと思いました。
心のバリアフリーについて詳しくはこちらがわかりやすく説明されています↓
とても学びの多いキャリアアップ研修でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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