【包括的性教育】実践助産師育成事業の研修の内容と感想

保育園看護師

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今回は「包括的性教育実践助産師育成事業」という研修を受けたので、それについての内容や感想についてお話ししたいと思います!

「性教育」というと、自分にはあまり関係ない分野かな…と思う方もいるかもしれません。

私も正直、漠然と興味はあったものの、そこまで深い関心があったわけではありませんでした。

ただ、今回の研修を受けて、「包括的性教育」について学んで、「性教育」というイメージが大きく変わったので、

「包括的性教育」って何だろう??と、少しでも興味ある方はこの記事を読んでいただけたら嬉しいです!

包括的性教育実践助産師研修事業について

概要について

この事業は、日本財団の助成を受けて日本助産師会が主催している研修です。

そのため、助産師免許をもっていることが必須条件になります。


2022年度の「子どものための包括的性教育実践助産師育成研修」では、

助産師免許を有し、これまで性教育の経験がない、または、経験が少ない方、今後、新たに地域において包括的性教育を実践したいと考えている方

が対象と書かれていました。

2023年度の「未就学児および包括的性教育の理解のための研修」では、

助産師免許を有し、2022年、2023年の「子どものための包括的性教育実践助産師育研修」の内、『単元2 包括的性教育概論』『単元6 人生初めての時期の性』を受講済みの方

が対象とされています。

令和5年4月に「こども基本法」が施行され、すべての子どもには、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」があるという、ユニセフの子どもの権利条約の内容がより重要視されているようです。

その内容を踏まえて、「助産師が未就学児を対象として包括的性教育を実践するために必要な基本的知識について」を学べる研修になっています。


後ほど研修内容は詳しく説明しますが、

2022年度は「子ども」への包括的性教育、2023年度は「未就学児」への包括的性教育の内容でした。

愛着のことなど重なる部分もありましたが、

「子ども」向けでは小中学生や高校生を相手にすることを想定された内容で思春期やデートDV、避妊などの話もあり、

「未就学児」では乳幼児や保護者、保育士などへ伝えることを想定した内容で、乳幼児期の発達や生活の様子などの話もあり、

対象が異なるため重点を置いている内容が違うんだなと感じました。

受講期間について

2023年度の申し込みについては、申込期間が2023年7月下旬~2024年2月20日、研修期間が2023年10月下旬~2024年2月29日とされています。

私は、受講を迷っていて12月になってからの申し込みだったので、全部受講できるか不安だったのですが、何とか達成できました!

受講方法について

本研修の受講にあたっては、事前に「子どものための包括的性教育実践助産師育成事業2022年版、もしくは、2023年(一部再配信版)」の『単元2 包括的性教育概論』、『単元6 人生初めての時期の性』の事前視聴をしていることが必須となります。

2022年度も受講している方であれば2023年度も受講が可能ですが、

2023年度を受講したい場合は2022年度の再配信版も一緒に受講することが必須ということですね。

私は今回初めての受講だったので、2022年度と2023年度両方受講する申し込みをしました。

2022年度再配信版の単元2と6を受講し終えると、2023年度が視聴できるようになりました。


2022年度の再配信版は参加費5,000円、2023年度は参加費8,000円、計13,000円でした。

ちなみに、2022年度再配信版は単元2と6の2コマだけを受けても、13コマ全部受講しても費用は変わらないようだったので、全部受講しました!

全部で25コマ分(1コマ約60分)あったので、それでこの値段ならかなりお得かなと思います!

2023年度の内容

12コマ×約60分で以下のような内容でした。

  1. オリエンテーション
  2. 乳幼児期の健やかな育ち
  3. 未就学児の社会的発達(人間関係)
  4. 未就学児と虐待への対応
  5. 発達が気になる子どもたちとのかかわり
  6. 幼児への説明配慮
  7. 幼児期の育ち・遊び・保育
  8. 未就学児への包括的性教育①
  9. 未就学児への包括的性教育②
  10. 子どもの性についての対応①
  11. 子どもの性についての対応②
  12. 未就学児への性教育映像配信

すべて受講すると、「全講義受講修了証」が発行されます。

2022年度再配信版の内容

2022年度再配信版の内容です。

  1. オリエンテーション
  2. 包括的性教育概論
  3. 人間関係の理解
  4. セクシュアリティと性的行動に影響する考え方 価値観-人権・文化と社会-
  5. ジェンダーの理解
  6. 人生はじめの時期の性
  7. 思春期の心と身体
  8. 親密なパートナーからの暴力と安全確保
  9. ピアプレッシャーと意思決定
  10. コミュニケーションスキルとメディアリテラシー
  11. 思春期の健康課題と対応
  12. 性教育実践を行うためのポイントと留意点
  13. 効果的な教材作成とプレゼンテーション

※太字の単元2と6は2023年版受講のために、受講必須。

全講義受講修了証の発行はありませんが、1単元につき、3つの動画がありそれぞれの確認テストに合格すると、単元毎の「受講修了証」が発行されます。

受講してみての感想

包括的性教育って幅広い!!

一番の感想は、包括的性教育ってすごく幅広い概念なんだ!!ということです。

自分の受けてきた性教育を考えると、小学5年生くらいの時に男女分かれて月経や射精についての話があったり、中学生の時に避妊などの話を聞いたり…

あと何かあったかな…という感じですごく限定的な内容のイメージでした。

余談ですが、中学生の時の性教育の話は、体育の男の先生が保健体育の時間にみんなを集めて淡々と話す、という感じでなんだか気恥ずかしくて落ち着いて聞けなかった記憶があります。


でも、包括的性教育は項目だけを見ていただいてもわかる通り、本当に幅広いんだなと感じます。

いわゆる「性教育」からイメージされる、性感染症の予防や避妊、月経にまつわることなどの話もありますし、

ジェンダーを理解すること、パートナーとの関係、暴力やデートDV、虐待のこと、命の大切さを学ぶこと…など内容は様々です。

でも、それらの内容はバラバラなのではなくて、一人一人が自分の心とからだを大切にできるような教育、そして社会全体でそれを認め合っていく大切さをみんなが理解するということなのかな、と感じました。


一人ひとりが違うということ、

自分と他人は感じ方も考え方も違うということ…

そんなの知ってるよと思うかもしれませんね。

でも、ちょっと枠から外れている人を見ると

「あの人ってちょっと変」とか「普通じゃないよね」と思うこと、ありますよね。

その「普通」とか「変」の基準も個人の価値観や、社会の中で植え付けられた偏った価値観になっているのかもしれません。

ジェンダーを理解するということは、これまで「男」「女」という2択だった「性」を多彩なグラデーションのあるものとして理解していくということでもあり、固定概念に囚われていてはいけないんだなということもすごく感じました。

何が当たり前なのか、

「これって普通」と無意識のうちに決めつけていないか…

などいろんなことを考えさせられる研修でした。

子どもと共に学んでいく姿勢の大切さ

研修を受ける前は、性教育はちゃんと大人が正解を学んで、子どもに教えてあげるものだ!と思っていました。

でも、そういうものじゃないんですね。

子どもと一緒に考えていく、学んでいく、という姿勢が大切なのだと学びました。


例えば、講義の中で紹介されていたのが、

「赤ちゃんってどうやってできるの?」などの質問を子どもからされた時の話です。

ドキッとする質問ですよね(笑)

まあ…大人になったらわかるから!なんて、はぐらかしたくなる質問だと思います…。

でも、そういう時に、

「お~、いい質問だね」とまず受け止めること。

そして、「どうしてそう思ったの?」と子どもに聞き返すこと。

そうすると、「友達に妹が生まれたから」とか何か子どもがそう思ったきっかけを知ることができます。

そして、子どもとの対話の中で、何を知りたいと思っているのか、どこまで知りたいのかなど確認しながら話していけばよいのだそうです。

すぐに答えられないときは、一緒に考えてみようということでもいいし、絵本などを通して伝えていくのでも大丈夫なのだそうです。


全部答えてあげなきゃいけないのかな…という気持ちでいたので、すごく難しそう、自分には無理かもしれない…と思っていたのですが、

「一緒に学んでいく」という姿勢を大切に、子どもと対話をするということであれば、自分にも少しできるかもしれないなと感じました。

そもそも包括的性教育は大人の自分たちの代が学んでこなかったことなので、大人も子どもと一緒に学んでいくというのはすごくいいことだなと思います。

「性教育」の講義をするだけが性教育じゃない!

「性教育」とか「命の授業」というと、ベテランの助産師さんが学校などですごく心に響くことを教えてくれる…というイメージでした。

でも、今回の研修を受けて、「授業」の限られた場だけが性教育なのではなくて、普段のかかわりの中にも性教育が含まれているということを感じました。

例えば、乳幼児であれば「愛着」の話が出てきました。

しっかり親や養育者と愛着形成することが自分を大切にすることにつながり、人権教育にもなっていくということなんですね。

子どもの安全基地となることや、子どもがしたいことを把握して促すことなど、日常の中の関わりが、その後の他者への理解と尊重へと繋がり、包括的性教育の内容に結びついてきます。

私は今保育園で働いていますが、日頃の保育の中で大切にされていることが講義の中で出てきて、「こういう関わりも見方を変えれば包括的性教育なんだな」と感じることもありました。

今できていることを伸ばすことも大切にしながら、「男の子だからこう」とか「子どもだから性についてこれは教えない」など保育の中で偏った価値観になっていないかなど見直していくことも大事だなと感じました。

おわりに

今回は、「包括的性教育」というキーワードを軸に、乳幼児から思春期のことなどたくさん学ぶことができて、視野が広がったなと感じます。

受講を迷っていた包括的性教育の研修でしたが、想像以上に幅広く学ぶことができて、結果的にすごく満足です。

これまであまり縁がないと思っていた「性教育」の分野が一気に身近な問題に感じられるようになり、何かの形で生かしていきたいという気持ちになりました。

研修を受けて終わりというものではなく、自分の価値観を見つめなおしていかなければいけないな、というのはすごく感じています。

せっかく今回新しい分野について学んだので、今後どんな形で周りの人に伝えていったらいいか、いろいろと考えながら学び続ける姿勢を大切にしていきたいと思っています。

今回学んだこと、感じたことなど、今後もブログで発信したいと思っているので、応援よろしくお願いします!

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