保育園では年2回の歯科検診があります。
看護師さんだから歯科のこともわかるよねー!と保育士さんからは思われがちな保育園看護師です。
実際は、看護と歯科ってまた全然別の領域で、自分が歯医者に通う中で得た知識くらいしかありません(汗)
保育園看護師になってから、歯科検診の補助や管理などをしなければいけないということで、歯科のことを勉強しているところです!
今回は保育園看護師になったら知っておきたい知識をまとめました。
☑ 保育園の歯科検診について知りたい方
☑ 歯科の基礎知識を学びたい方
☑ 保育園看護師で歯科検診の管理を担当する方
そもそも歯科検診って?
保育所における歯科保健については、児童福祉施設最低基準(以下「最低基準」という。)及び保育所保育指針において歯科健康診断の実施が定められている。
歯科健康診断については、嘱託歯科医が行うものとし、その結果については記録し、食生活指導、歯の清掃指導等その後の保育指導に反映させることが大切であり、保護者に対しても密接な連絡、適切な指導を行うものとする。
厚生労働省
保育園の歯科検診は年2回実施することが決められています。
私の保育園では5~6月と、11~12月頃に2回実施されています。
その日休んでしまった子は、別の日に歯科医に来て対応してもらうことになるので(自分で受診が必要と言われるところもあると思います)、なるべく体調不良以外でお休みしないようにお願いしています。
歯科検診をするまでには、歯科医と連絡を取って日程を決める→記録用紙(健康診断票など)を準備する→実施(舌圧子などを準備)→終了後はおたよりで結果を保護者にお知らせ…という流れになります。
歯科検診の目的
保育園の歯科検診では、
- 歯がどれくらい生えているか
- むし歯やむし歯になりかけている歯はあるか
- プラーク(汚れ)が付いていないか
- かみ合わせなどの問題はあるか
というところを見ていきます。
検診とはそもそも「病気の早期発見」が大きな目的です。
そのため、保育園での歯科検診でも、細かくむし歯の状態を観察するというよりは、「保健指導が必要かどうか」「治療が必要な状態かどうか」を判断して、必要な子には受診を勧めるというのが主な目的になります。
記録の読み方
保育園によって形式は多少異なるかもしれませんが、このような「歯式」に記入していきます。
私の保育園では、歯科医と一緒に来てくれる歯科衛生士さんが記録をしてくれます。
数字(1~8)が永久歯、アルファベット(A~E)が乳歯です。
保育園ではほとんどが乳歯のチェックになりますが、乳歯は6歳頃から永久歯に生え変わっていくので、早い子だと永久歯が生えていることもあります。
覚えておきたい記号はこちらです↓(強調のために赤で書きましたが、実際は鉛筆やボールペンで記載します。)
〈健全歯〉 / むし歯未経験歯
〈未処置歯〉 C 治療してないむし歯
〈処置歯〉 ○ 治療済のむし歯
〈要観察歯〉 CO むし歯と判定できないが、むし歯の初期症状の疑いのある歯、統計上、むし歯には入れない
〈要注意乳歯〉 × 抜いたほうがよい乳歯 むし歯でない場合は統計上健全
〈ゆ合歯〉 ゆ 2 本の歯がくっついた歯 統計上 1 本の歯とする
私が最初迷ったのは、「C」と「CO」の違いです。
COは「主として視診にて明らかなう窩が確認できないが、う歯の初期病変の徴候(白濁、白斑、褐色斑)が認められ、その経過を注意深く観察する必要がある歯」という状態です。
CO(要観察歯)の事後措置は「保健指導を受ける」こと、Cの事後措置は「歯科医療機関を受診する」という違いもあります。
統計上は「C」はむし歯、「CO」は統計上むし歯には入れないとなっているので、「未処置」の欄には「CO」は含めず「C」の数だけ入れましょう。
その他、後ほど詳しく説明する「不正咬合」や、「プラークあり」などと書かれることがあります。
※参考:日本学校歯科医会
参考までに、乳歯の生える順番は下のようになっています。
8か月で2本、1歳で8本、1歳半で16本、2歳半で最後の奥歯が生えそろって20本という目安です。
歯科の知識
むし歯について
むし歯は「CO」から「C1~4」という段階に分かれています。
歯科検診ではC1なのかC2なのか…というような診断はされないことが多いですが、参考までに知っておけるとイメージが付きやすいかなと思います。
CO(シーオー)むし歯の前兆
歯の表面からカルシウムなどが、少し溶け始めた(脱灰した)面がある状態です。
治療法としては、歯科医院でフッ素を塗る、フッ素入り歯磨き粉で丁寧に歯を磨くという方法があります。
C1(シーワン)初期のむし歯
C1から統計上「むし歯」にカウントされます。細菌により、エナメル質が溶け始めた状態です。
治療としては、虫歯を削って、詰め物をします。歯医者へ通院して治療することが必要になります。
C2(シーツー)本格的に進行し始めた虫歯
痛みを感じ始め、虫歯と気づく方も増えてくる段階です。エナメル質よりも内側の象牙質にまで、虫歯が進行した状態です。
治療としては、虫歯部分を削り、詰め物や被せ物をします。
C3(シースリー)神経まで進行した虫歯
大分痛そうな見た目になってきましたね…。
虫歯が象牙質を超えて、神経まで到達した状態です。
歯の神経を取り、根の中を消毒した上で、土台を作り、被せ物をする必要があります。
C4(シーフォー)ほとんど歯がない虫歯
あまり想像したくもないですが…。目に見える歯の部分がほとんど失われ、根の部分だけ残っているか、いないかといった状態です。
※参考:根幹治療ナビ
その他の疾病や異常~かみ合わせや歯並びなど~
かみ合わせや歯並びなどの「不正咬合」についても歯科検診で指摘されることがあります。
「不正咬合」とは上下の歯がきちんと噛み合っていない状態のことを言います。
叢生(そうせい)
歯がアゴに入りきらないでガチャガチャに生えている状態を「叢生(そうせい)」と言います。
反対咬合(はんたいこうごう)
前歯が反対に咬んでいるのが「反対咬合(はんたいこうごう)」です。「受け口」とも言われます。
過蓋咬合(かがいこうごう)
前歯の咬み合わせが深いのが、「過蓋咬合(かがいこうごう)」です。
例えば、下の前歯が隠れて見えない場合などを言います。上の前歯に負担がかかるので寿命が短くなる、顎関節に負担がかかり痛みなどを発生しやすいとの指摘があります。
開咬(かいこう)
奥歯で咬んでも前歯が当たらない状態を開咬(かいこう)と言います。
奥歯で咬んでも何本かの前歯が咬まない状態のことで、前歯で麺類を噛み切れません。正式には複数の前歯のオーバーバイトがマイナスである状態を言います。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
出っ歯と総称されるのが、上顎前突(じょうがくぜんとつ)です。
上の前歯が出ていることによりぶつけて歯を欠いてしまったり、時には折ってしまう事故が多いと言われています。
※参考:歯・口腔の健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
しおみ歯科クリニック 矯正歯科サイト (shiomi-dc.com)
保護者へのお知らせ
実施後は、なるべく当日の内に結果のお知らせの紙を保護者に渡しています。全員に渡しているところと、問題が見つかった子にのみ渡すところがあるようです。
今は紙ではなくアプリで配信、というところもあるかもしれませんね。
私の保育園では、
〈お口の状況〉
- むし歯 あり なし
- 歯の汚れ あり なし
- 歯並び 異常なし 異常あり(経過観察 要精検)
- その他 ( )
〈検診結果〉
治療無し 要治療
という内容を記載してお渡ししています。(内容は歯科医師の判断です。)
おわりに
歯科検診も保育園看護師が担当することが多い業務だと思います。
歯科はなじみがないと感じる方も多いかもしれませんが、検診が始まる前に、最低限の歯科の知識をつけておけると安心ですね。
今回の内容が少しでも参考になれば嬉しいです!
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