0歳からのおうち矯正

今回は「子どもの歯並び」が気になる方におすすめの「0歳からのおうち矯正」という本の内容を紹介します。

むし歯は歯みがきやフッ素塗布などで頑張れば予防できる…という印象がありますが、歯並びは矯正しないと直せないものと思っていませんか?

この本を読んだら、お金をかけずにお家で出来ることがあるんだ!と目から鱗でした!

歯並びがそもそもどんな風に決まるのか、乳歯と永久歯の違い、歯並びを良くするためにできることについて知りたい方、必見です!

こんな方におすすめ

☑︎ 子どもの歯並びが気になる

☑︎ なるべく子どもにはきれいな歯並びでいてほしい

☑︎ 子どものお口ポカンや口呼吸、猫背が気になる

この本について

先日お口ポカン(口が開きっぱなし)の子がいると保育士さんから相談があり、原因や対策など考えている中で手に取った本です。

歯科矯正の床矯正というものを専門に行っている先生の本で、なるべく歯を抜かずに悪い癖の改善や子どもの力で歯並びを整えるという考え方が好印象でした。

歯科はすごく専門的でマニアックな分野、と感じていますが、この本は丁寧にやさしく解説されていて、わかりやすい事例の紹介も多く、「へえ!そうなんだ!」と楽しく読み進めることができました。

ほとんどの人は生まれつき正常な歯列を持っています。

悪い癖をつけず、正しい食生活をして、正しく機能していれば、不正咬合は発症しません。

不正咬合の患者さんも、悪い癖を直して正しい食生活をすれば、からだの機能が働いて正常な歯並びに戻してくれるのです。

p162

生まれつき悪い歯並び、とかじゃないんですね。ほとんどは、食生活や習慣の問題なんだそうです。

これって、すごく希望のある言葉だと思いませんか?


私も自分の歯並びがガタガタなのは高校生くらいから気になっていて、大学卒業後から1年間ワイヤーでの矯正→マウスピースでの固定を行っていました。

幸い抜歯は必要なかったですが、矯正し始めの頃の歯が動く痛みや、歯みがきの大変さ、話しづらさは今でも記憶に残っています。

矯正の大変さがわかる分、なるべく子どもには歯並びで苦労させたくないなという思いがあります。


子どもの歯並びのために何ができるんだろう?生まれつきのものなのかな?と思っていたので、この本はすごく参考になりました。

特に、歯並びが顔つきにも影響してくることや、歯だけでなく姿勢や歩き方とも関連していると初めて知って、からだって全部繋がっているんだなぁと改めて感じました。

子どものうちから、いい歯並びのためにできることがあるなら知っておきたい!!と思う方にぴったりな内容です!

様々なツールも紹介されていますが、物がなくてもできることがたくさん紹介されています!

目次

第1章 一見きれいに並んだ乳歯は危険信号
~おうち矯正を始めましょう~
 気になる歯並びもおうち矯正で治しましょう
 子どもの歯並びが悪いと感じたら
 子どもの歯の成長を知っておきましょう
 乱ぐい歯(叢生)にさせないために

第2章 おかしいと感じたときがおうち矯正のチャンス
~叢生になる歯並びは2~3歳で決まります~
 いろいろな歯並びの異常を知っておきましょう
 先天性の異常
 美しい顔に育てるには?
 子どもの発達と歯の成長

第3章 おうち矯正は早ければ早いほどいい
~早めに始めることが大切な理由~
 おうち矯正のしくみ
 おうち矯正が手遅れでも床矯正治療で治せます

第4章 正しく咬んで歯並びを育てる
~前歯で咬み、舌の正しい位置を習慣にすることが大切です~
 正しく咬めば歯並びは改善します
 おうち矯正のカギは歯根膜にあり
 舌の位置の重要性を理解しましょう
 ポカン口をやめさせる方法

第5章 出っ歯にさせないために
~とくに下あごを後退させる悪い癖に注意~
 出っ歯になる原因とは
 出っ歯の治療とおうち矯正
 出っ歯をつくる悪い習慣に注意しましょう

第6章 受け口(反対咬合)は放置しない
~骨格性に移行する前に適切な処置を~
 反対咬合(受け口)に注意しましょう
 おうちで治せる交叉咬合
 反対咬合・交叉咬合の原因になる習慣
 骨格性の反対咬合にさせないために

第7章 顔の印象はおうち矯正で変えられる
~そのお悩みはおうち矯正で治せるかもしれません~
 最強のおうち矯正とは
 悪い習慣をやめさせる便利なツールたち
 おうち矯正の秘密兵器たち
 正しく咬まないと顔が曲がってしまう?
 
第8章 正しく食べてきれいな歯並び
~歯にいい食べ物と食べ方は心とからだも安定させます~
 食べることは歯を育てること
 正しく楽しく食事することが基本
 好き嫌いの克服は工夫次第
 食事が遅い子どもには理由があります

第9章 悪い顔をつくる習慣に注意
~どのように噛んでいるかで顔つきが変わってきます~
 からだのバランスが悪いとあごに負担
 かむ位置の違いで顔つきが変わります
 片噛みはからだのゆがみの原因

第10章 からだのゆがみと歯並びの関係
~正しい呼吸でからだのバランスを整えましょう~
 猫背を治しましょう
 正しい歩き方をしましょう
 正しい座り方をしましょう
 からだはすべてつながっています

歯並びで大切なこと

歯並びは遺伝?と思っている方も多いかもしれませんが、一部の先天性の異常を除けば、「悪い歯並びのほとんどは、歯列の発育不足や、悪い習慣による歯とあごへの間違った刺激が原因」なのだそうです。

歯並びは口の周りの口輪筋と、口の内側で対抗する舌のバランスで決まります。

歯列は、顔側から押す筋肉とそれを跳ね返す舌の筋肉の力がちょうどつり合っている位置に並びます。

p51

歯が勝手に生えてくるのではなく、舌と口のバランスで決まるというのは初耳でした!


悪い習慣の例としては、

・あごをどこかに乗せるくせ、寝転んだ姿勢の読書による出っ歯

・「アイーン」のマネや、泣き虫で下あごを突き出すくせによる反対咬合(はんたいこうごう=受け口)

・頬杖や片噛みの習慣でからだがゆがんでしまった例

…などが挙げられていました。


現在の子どもには、

①乳歯に適切なすき間が足りないことによる乱ぐい歯

②受け口

③下あごが後退して出っ歯に見えるかみ合わせ

という悪い歯並びが多く、②.③は顔立ちにも影響してきてしまうそうです。

それぞれについて、対策や受診の目安が詳しく書かれているので、ここには書きませんが気になる方はこの本を手に取ってみてください。

乳児のうちから気をつけたい「叢生」

叢生(そうせい)とは乱ぐい歯(がたがたの悪い歯並び)で、なんと、子どもの44%にあると言われています。

乳歯列期(8ヶ月〜6歳)、混合歯列前期(6〜10歳)の初期までならおうち矯正が可能だそうです。

乳歯のときにすき間なく歯が並んでいる歯は要注意です!!

上あごは乳歯4本より永久歯4本では7.44ミリ、下あごは5.31ミリ大きいのだそうです。

つまり、永久歯が生えたときにスペースが足りなくなってしまい、ガタガタの歯並びになってしまうんですね。

それを防ぐために、乳歯の段階ですき間がない、またはあっても足りない場合は「発育刺激」を与えて隙間を作る必要があるんだそうです。

発育空隙を育てるおうち矯正では、前歯で噛む咬断運動をすることで、歯列を横方向に成長させ、舌の力で前歯が押されて歯列が前方に向かって成長することで、発育空隙ができます。

乳歯の前歯はすきっ歯の状態が理想です。

しっかり歯を使って刺激することで、歯が並ぶスペースを作ることが大切なんですね。

おうちでできること

具体的におうちでできる方法について、紹介されていました。

①前歯で咬むことで歯列の成長を促す

歯の根、歯根を包む「歯根膜(しこんまく)」には、まっすぐ咬むことで歯を正しい位置に修正してくれる作用があるそうです。

永久歯の叢生(乱ぐい歯)を予防するためには、奥歯で噛むだけでなく、「前歯で咬むこと」が大切なのですね。


この練習は、離乳食の時期から始まります。

離乳食では、赤ちゃんが自分からスプーンにかぶりつくことを大切にして咬断運動のための訓練をしていきます。

(スプーンを口の中に押し込んでしまうと、赤ちゃんは飲み込むだけで咬断運動の練習ができません。)

そして、1歳から1歳半ごろからは歯ぐきでつぶせるくらいのやわらかい食材を手づかみで食べることの練習をしていきます。

1口サイズに細かくしすぎずに、自分でかじりとる経験をさせてあげましょう。

目と手と口の動きをスムーズに連動させる練習をすることで、スプーンやフォークを使うための練習をしていきます。

「時間がないから早く食べて」と急かさず、食べることが楽しくなるように励ますことが大事だそうです。


よく噛んでね、30回噛んでね、というのはよく聞くと思いますが、噛むのは奥歯です。

奥歯で噛むことも大切ですが、大きなものを咬み切る「前歯で咬む」ことで、歯列が発達して発育空隙ができるので、ぜひ積極的に前歯で咬むことを取り入れていただきたいです。

しっかり咬むことができている子は「前歯の先端のギザギザ」がすり減って、半年〜1年くらいで平らになるようなので、お子さんの歯をチェックしてみてくださいね!

ちなみに、2歳の息子の歯をチェックしてみたらギザギザはなくなってました!

日頃トウモロコシや果物などをかじり取ってる成果かな?と思いました。


また、気をつけたいのが食べ物をあまり噛まずに飲み物で流し込んでいないか?ということです。

水分で無理矢理流し込む食事法は「水洗トイレ」のようなもの…という衝撃的な言葉が書いてありました。

食事の時の水や麦茶の用意する習慣は見直し、水分補給は食事が終わってからにするとよいそうです。

水洗式食事では奥歯で噛まないことで舌筋が弱くなるので、歯を正常な位置に戻す舌と頬筋の力が足りず、位置異常(悪い歯並び)になってしまうようです。

②歯並びに悪い習慣をつけさせない

悪い習慣が歯並びに影響するということも、繰り返し説明されていました。

例えば…

・頬杖

・布団にうつぶせになってあごを枕にのせて本を読む

・片噛み

・猫背

・すり足(正しい歩き方が大事!)

・正しい座り方

・出産直後からの悪い姿勢(正しい授乳の仕方や抱き方ができていない)

…などが紹介されていました。

からだがゆがんでいると、重い頭を支えるために頬杖や腕で支える癖がつき、その力であごや歯列が変形が起こってしまうということです。


猫背になると噛む力が3倍も低下するなど、全身の機能が歯と歯並びに影響してくるんですね。

猫背は子どもからはじまり、どんどん悪化していきます。

子どものうちから猫背の改善するためには、

  • へその指3本下にある丹田を意識した呼吸を行う。(それによって背筋が伸び、自律神経が整う)
  • からだを伸ばして腰を強くするために雑巾がけをする

などが効果的とのことです。

歯の話のはずなのに、猫背や姿勢、すり足の改善の話などがあり、「歯並びだけ良くしたい」ということではなく、全身は繋がっているんだなと改めて感じました。

③舌の正しい位置を身につけさせる

上あごは舌によって刺激を受けて成長するため、正しく成長するためには、舌がいつも上あごに接している必要があるのだそうです。

みなさんの舌の位置はどうですか?

いつも口が開いてしまう、ポカン口では舌が上あごに接しておらず、上あごが十分発育できずに口の中が狭くなってしまいます。

それによって、前歯に発育空隙ができず、叢生や出っ歯の要因になってしまうのです。

p76

ポカン口は、「口唇閉鎖不全症」というれっきとした病気です。

鼻呼吸では、菌やウイルスの侵入を防いだり、脳の冷却をする働きもあります。

ポカン口で口呼吸になると、病気にかかりやすくなったり、口の中が乾くことで雑菌が繁殖してむし歯になりやすくなったり、歯周病や口臭の原因にもなるそうです。

また、舌の位置が低いと噛み合わせが深い過蓋咬合になり、口の中が狭いために発音障害を起こしてしまうそうです。

見た目だけの問題ではなく、様々な悪影響が出てきてしまうんですね。

ポカン口の子はあごの下に梅干しのようなシワができるのが特徴です。

コロナ禍でマスクを付ける習慣ができ、口元が見えなくなって実は口が開けっぱなし…ということもあるので、気をつけて見てみましょう。


ポカン口をやめさせるためには、鼻呼吸ができない原因を取り除くことが大事で、アレルギー性鼻炎による鼻づまりなどの原因があればそれを改善することが必要です。

その他、ポカン口で顔つきも変わってくるということを子どもに伝えることも大切です。

本には顔立ちの似た姉妹で、口を閉じられない姉と口を閉じた妹で全然顔つきが変わってしまった写真が載っています。

こんなに顔立ちも変わってしまうというのは、ちょっと衝撃でした。

反抗期の子どもでは何度も叱られると嫌になってしまうので、「リマインドシール」で子どもの見えるところに貼っておくのも効果的だそうです。


口呼吸を鼻呼吸に改善する方法として、「あいうべ体操」が紹介されていました。

  1. 「あー」と口を大きく開く
  2. 「いー」と口を大きく横に広げる
  3. 「うー」と口を強く前に突き出す
  4. 「べー」と舌を突き出して下に伸ばす

1〜4を1セットにして食後に10セット、一日30セットを目安に行うというものです。

舌の力がついて、自然に口が閉じられるようになります。

私も30セットとはいいませんが、朝晩気付いた時に「あいうべ体操」するようになったら、1週間で口周り顎回りがシュッとして引き締まった感じがしました!

顔の印象は筋肉の使い方によっても大きく変わるという言葉もあり、歯並びのためだけでなく良い表情のためにも続けてみたいなと思っています。

また、加齢と共に嚥下(飲み込むこと)の機能が低下して、誤嚥性肺炎の原因になることもあります。

子どもだけでなく、家族みんなで「あいうべ体操」取り入れて、健康なお口づくりができるといいですね。

おわりに

歯並びは歯だけの問題ではなく、姿勢や癖や食事の習慣など様々な要因が絡んでいるものなのだと学びました。

今回は詳しく書きませんでしたが、この歯が生えた時にこういう状態なら受診した方がいい…など、受診のタイミングについても具体的に書かれていました。

歯科受診を迷っている方、お子さんの矯正のタイミングを考えている方にもおすすめの内容です。


子どものうちから前歯で咬む刺激や、しっかり舌や口の周りの筋肉を使うことで、歯列が成長し良い歯並びに繋がるということは、ぜひ多くの人に知っていただきたいです。

正しい姿勢、正しい食べ方、正しい呼吸の仕方…と言われると、そんなに「正しく」しなきゃいけないの!?と思ってしまいますが、からだは全ては繋がっていて、それぞれ整えるにはちゃんと訳があるんだなと実感しました。

歯の大切さ、そして日々の一つひとつの動作の大切さを教えてくれた本でした!

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