こんにちは、保育園看護師をしている2歳男の子育児中の助産師あやかです!
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今回は「ペリネイタルケアの1月号」の母乳育児の特集がとても良い内容だったので、ご紹介します。
ペリネイタルケアは「周産期医療の安全・安心をリードする専門誌」とサブタイトルに書かれていて、保健指導や妊娠中の異常など周産期の様々な特集が組まれているので、助産師の方なら読んだことのある方も多いかと思います。
今回のテーマは「つらくない母乳育児 イマドキのお母さんに寄り添うケアのすべて」となっています。
助産師や産後ケアなどに関わる人にぜひ知っていていただきたい内容でした!
目次
基礎知識
■01 母乳育児は山登り~山登りの前にやっておきたい準備について
■02 母乳育児のメリット①栄養学的観点
■03 母乳育児のメリット②児の神経学的発達
■04 乳房の解剖と生理
支援とアセスメント
■05 体重増加のアセスメントと人工乳補足
■06 授乳方法の指導とアセスメント
■07 妊娠中~授乳中の食事と薬
■08 感染症と授乳
退院に向けた支援
■09 退院指導、退院後のフォロー(産後健診)
■10 卒乳
トラブルへの対応と支援
■11 「授乳がうまくできない/吸ってくれない」(抱き方・含ませ方などの問題)
■12 「乳頭・乳房が痛い」「乳腺炎かも…」「乳腺炎になるのが心配」
■13 「母乳不足かも…」(母乳分泌不全)
■14 「母乳が出過ぎる」(母乳分泌過多)
■15 「ニップルシールド/哺乳瓶を使ったら、おっぱいを嫌がる」(乳頭混乱)
■16 「夜間授乳がしんどい」「休めない」
■17 「授乳中に苦痛を感じる」(不快性射乳反射:D-MER)
〈トピック〉
■18 母乳バンクの今
この本を読んだ感想
時代に合った関わり方が知れる
母乳育児ってメリットもたくさんあり、すばらしいことだと思います。
その一方で、最近は無理せずミルクも使っていいんだよ!という考えが主流で、
「母乳育児」を母親に押し付けることが負担をかけさせるという印象や、ミルクを使って無理せず育児する方がよいという考えや、母乳育児を支援することは「ミルクで育児する人を否定する」という印象もあり、
「母乳ってすばらしい!」と率直に言いづらいなあと感じています。
本書は、「イマドキのお母さんに寄り添うケア」ということで、母乳育児を押し付けるのではない、寄り添い方についてもたくさん書かれていることが印象的でした。
母乳がすごい、母乳がいい、なんて
そればっかり言われても、じゃあ出ない人はどうすればいいの?うまくいかない人だっているじゃん!!って思っちゃいますもんね。
正しい知識を伝えることだけにフォーカスされておらず、伝え方や寄り添うことについてもたくさん書かれているので、
こういう関わり方だったら受け入れてもらえそうだなぁと感じる場面が多かったです。
一方的に知識ややり方を押し付けるのではなく、一人ひとりに寄り添う支援が必要なのだと感じました。
母乳育児と登山
コラムの中で、母乳育児が登山に例えられて紹介されていたのが、すごく納得できました。
山は富士山だけではありません、高尾山のような低い山の登山を楽しむ人もいます。同じように、完全母乳育児でなくても、混合栄養でも母乳を与えることで授乳と育児を楽しめるなら、それでよいのではないでしょうか。
(中略)
出産後から目指す母乳育児のスタイルをしっかりと決められるよう、妊娠前・妊娠中からの情報提供は欠かせませんよ。そのため、点ではなく線でサポートしていきたいものです。
ペリネイタルケア2024 1月号 p37
「支援者が育児サポーターとして、母乳で育てることを母親が楽しめるように寄り添うこと」が重要とも書かれています。
育児を楽しめることが第一優先という考えに、深く共感しました。
そして、もう一つ登山の例が出されていたコラムにこんなことも書かれていました。
自分で決めたことをやり抜くこと、そして、私たちがサポーターとして寄り添うことはとても重要なのですが、富士山登山の最中に高山病に陥った場合には、サポーターが「これ以上はやめよう」と言うこともあります。もちろん、これは本人のせいではありません。
(中略)母乳育児も同じ。母乳だけで育てられなかったことは母親の責任でも怠惰でもなんでもありません。
妊娠中から、「そういうこともある」ということ、その場合も「長く楽しく母乳をあげられれば赤ちゃんも幸せです」ということを伝えておく必要があります。
ペリネイタルケア2024 1月号 p40
母乳育児支援に関わっていると、いかに授乳をうまくいかせるか!ということに躍起になりすぎると、母親自身の気持ちが置いてけぼりになってしまうこともあるなあと感じています。
支援の最終目標はどこなのかを見失わないようにしたいと思いました。
妊娠中の関わりから卒乳まで網羅されている
妊娠中から、出産後、退院後の関わり、卒乳のことまでしっかり網羅されていて、母乳育児について学びたい人にはすごく良い内容だと感じました。
目次にも挙げたとおり、母乳の栄養学的なメリットも児の神経学的発達についても詳しく書かれています。
母乳には免疫たっぷりで…というのは聞いたことがある人も多いと思いますが、母乳に「児の神経学的発達を促す成分が多数含まれている」というのは知らない人もいるのではないでしょうか。
ヒトミルクオリゴ糖や脂肪球膜、スフィンゴミエリンなどの成分は認知機能の向上や発達に関係しているのだそうですよ!
その他、体重増加のアセスメントと人工乳補足についても基準が書かれていますし、授乳のアセスメントについても詳しく書かれています。
自己流の(または施設独特の基準での)関わり方になっていないか、普段の関わりが今の正しい知識に基づくものなのかを見直すのも大事だなと感じました。
余談ですが、私は病院やクリニックで働いていた時、「先輩に教えてもらうことがすべて」という感じで自分で本を読んで勉強するという機会は、現場を離れた今よりも圧倒的に少なかったです。
ペリネイタルケアなどの雑誌も手に取るようになったのは最近になってから。
今思えば、目の前に困っているママたちがたくさんいたんだから、もっと勉強すれば!とも思うんですが、その時はその時で日々の業務でいっぱいいっぱいだったんです。
大変なのは百も承知ですが、産科の現場にいる方たちにこそ、母乳育児の関わり方で大事なことを知ってもらえたらいいなあと思っています。
周りの出産体験、母乳育児の体験を聞くと、そんな状態なの……と絶望することも多く(汗)
そのために地域の助産師として私自身も頑張っていきたいなぁと体験談を聞くたびに思います…!
おわりに
今回の母乳育児の特集は、生理学や最新のエビデンスを基に母乳の様々なメリットや支援方法について書かれていて、新たな発見もあり改めて母乳のすごさを実感できました。
私の助産師になりたいと思った原点には「母乳ってすごい!!」という感動もあるので、
もっと熱く母乳育児について語れるようになれるように勉強していきたいです!
最新の知識を学びながら、1人でも多くの方が楽しく母乳育児できるように関わっていけたらいいなと改めて思いました。
気になる方はぜひ手に取ってみてくださいね!
中身が濃く、読んで損はないですよ〜!
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