シュタイナーの子育て30のヒント

今回は「シュタイナーの子育て30のヒント」という本をご紹介します!

難しい概念的な部分は、理解しきれない部分もありましたが、

子どもの成長のこと、子育てとの向き合い方など、ちょっと視点を変えて考えることで楽になる部分もあるかなと感じます。

子どもとの関わり方、これでいいのかな?どうしたらいいかな?と迷った時に、肩の力が抜けて「これでいいんだ」と思えるような、そんな本です。

この本について

著者の岩橋亜希菜さんは建築家で、シュタイナーの理論や芸術論、建築学を学んでいる方だそうです。

シュタイナー学校の設計に従事し、シュタイナー学園高等部の「建築史」の講師をされているようです。

子育てについての本というと、教育関係者や保育士さんが書かれているイメージが強かったです。

今回は、建築家の方が書いた内容なので、「子育て」をそう見るんだ、そう考えるんだ!と新鮮に感じるところも多くありました。

芸術や美のことにも触れられていて、視野が広がる感じがしました。


最近よく耳にするモンテッソーリ教育は知っていましたが、「シュタイナー教育」について何も知りませんでした。

以前読んだ、整体的子育ての著者の山上亮さんがシュタイナーの考えを取り入れていると知り、図書館で見かけて手に取った本でした。

学んでみると「シュタイナー」の考え方は自分に合っているようで、しっくりきたのでもっと学んでみたいなという気持ちでいます。

シュタイナー教育とは?

哲学者のルドルフ・シュタイナーがはじめたもので、「自由への教育」なのだそうです。

子どもの個性に光を当て、それを十分に発揮し、自律して生きていけるようにしようとするものです。

一人ひとり、それぞれの個性や育ち方があると考えるので、決まりきったマニュアルはありません。

どんなときにも、目の前にある現実に向き合って努力をすれば、何をどう考えるべきかを見極めることができ、求める答えは必然的に自ら導き出せると考えるのです。

シュタイナーの子育て30のヒント p8

元々ルドルフ・シュタイナーは、物理学などを学んでいた方で、精神世界を科学的に研究した思想を「人智学(人間を智る学)」としてまとめ、教育・医療・農業・芸術・社会学などにも影響を与えているのだそうです。


また、人の身体は目に見えるものと見えないものでできていて、4つのものから成り立っているという考えで、

  • 物質体(目に見える存在として必要な物体としてのからだ)
  • エーテル体(物質をひとつの形態につなぎ止め、生命を保持し拡張するための生命体)
  • アストラル体(外界との関係をもたらす、感覚・感情体)
  • (それらを統制する役割の自我)

この4つが正四面体としてバランスを保つことが人間のあり方なのだそうです。

ちょっと難しい考え方ですが、「人を育てるのは、食事から摂取する栄養といった物理的なものだけではなく、周囲の環境と感覚器官を通して世界と関わることが重要な意味を持つ」という言葉はすっと理解できました。

目次

シュタイナー教育の基礎知識

ⅰ 子育てにどう向かう?

  • 子育ては未来をつくる仕事
  • 自分の尺度で子育てしよう
  • はやくなくたっていいじゃない?
  • 子どもの「熱」を育てよう
  • 12の感覚を育てよう
  • 個性の見つけ方
  • 失敗は学びのチャンス
  • 叱り方にマニュアルはない
  • 子どもの秘密を大事にしたい

ⅱ 子ども周辺のもの・こと

  • 病気と親の役割
  • あるがままの自然に触れたい
  • 余白のあるおもちゃがいい
  • テレビよりおもしろいものを見つけて!
  • ならいごとのとらえ方
  • 子どものための住環境とは?
  • おとうさんの役割と家庭のバランス

ⅲ おとなだって成長できる

  • おとなは精神の火を輝かせよう
  • 心の揺らぎはなぜ起こる?
  • コミュニケーションって何でしょう?
  • 美をもっと身近に
  • マンネリから抜け出したい!
  • 時代の意識を感じてみよう
  • ユーモアで気持ちを上向きに

ⅳ 21歳までゆっくり育つ

  • あかちゃんの可能性(0歳)
  • まず道具としてのからだをつくる(0〜7歳)
  • 自分のリズムを見つけていく(0〜7歳)
  • 感覚・感情を豊かに育てる(7〜14歳)
  • 反抗期は自我の芽生え(7〜14歳)
  • 偉大な人のお話を(7〜14歳)
  • 自律に向けて進む時代(14〜21歳)

印象に残ったところ

子どもを「ひとりの人間」としてとらえる

幼い子どもに対しても、きちんとした言葉で話しかけるなど、ひとりの人間として敬意を払うことを忘れてはいけないなと改めて感じました。

ただし、「敬意を払う=おとなとして扱う」ではないということを勘違いしてはいけないそうです。

経験のある大人と違って、はじめてのことばかりの子どもの毎日。

「どうしてできないの?」「はやくして!」などと思わずに、何につまづいているのか、子どもの内面を気にかけてあげたいですね。

また、「親にとって子どもは、自分に必要な体験を与えるために来てくれた存在でもある」という言葉が印象的でした。

子どもに与えてあげる、教えてあげる…なんて偉そうなこと言えませんが、実際は大人の方が子どもから学ぶことがたくさんあります。

頑なにならず、子どもと一緒に成長していく親の姿を見せていきたいなと思っています。

子どもの「熱」を育てよう

子どもは、周囲にあるものを見て、触って、なめて、においを嗅いで、といった感覚によってこの世界がどんなところなのかを知ろうとします。

(中略)

そうした子どもの様子は、まるで蒸気機関車です。

絶え間なく「世界から感じ取ったこと」を燃料としてくべ、欲求という熱を起こして走っているようです。

シュタイナーの子育て30のヒント p30

「おとなはその熱に水をかけないこと、熱をつくるのをじゃましないこと」が大切なのだそうです。

普段やっている声がけでは、なるべく息子の気持ちを尊重していきたいと思ってはいますが、水かけて熱を奪ってしまっていることはないかな?と考えてしまいました。

子どものころは「やりたい」気持ちに溢れているのに、少し大きくなるとやりたいことが見つからない、夢がない…という子どもが増えていくことって悲しいなと思うんです。

ちょっと何かしようとすると「あれもダメ!これもダメ!」って言っているのに、成長すれば「自分の夢を持って!自分のやりたいことを見つけて!」なんて大人の勝手すぎる都合ですよね。

小さい頃からその子の熱を大切にしてあげる関わりができれば、自分のやりたいことを自分で見つけていけるようになるかな?と考えています。

失敗は学びのチャンス

「ちょっと危険かな」と思う道具も、子どものうちに使っておくとよいそうです。

刃物など、子どもに使わせるのは危ない!!なんて思ってしまいがちですが、「危ない」「こわい」と子どもに注意すると、恐怖心と「やりたい」という熱が奪われた失望感だけが残ってしまうそうです。

本物の体験は必ずリスクが伴うものですが、大人が先回りしすぎずに、自分の責任で何かするという経験をさせてあげたいですね。

「子どもは失敗するチャンスを奪うのは、本物の学びを奪うのと同じこと」という気持ちを忘れずに、寛容に見守っていきたいと思いました。


また、親は子どもにとって自分をとりまく環境のようなもので、「危ないでしょ」などと大声で怒るのは、子どもにとって台風や大地震が来たのと同じこと、なのだそうです。

恐怖心だけが残り、できるだけその環境を荒立てないようにふるまう(親の言いなりに動く)、なんて悲しいですよね。

子どものうちは「いい子」でなくていいからのびのび育ててあげたいな、と思いました。

世界のつながりを知ることが創造力になる

道端など日常のちょっとしたところでの自然体験や、季節の変化など、「自然とのふれあいを通じて、世界のつながりや、生命の動きが感じられるようにお話をするのもとても有意義」なのだそうです。

今息子とミニトマトを育てていますが、自然の中に出ると色んな虫がいたり、風や太陽の日差しを感じたり、葉っぱがどんどん育っていく様子がわかったり、色んな発見があります。

一つひとつ見て触って感じて、体験を積み重ねていくことが大事なんだなと感じました。


また、自然素材を使う方がよいということで、プラスチックの無機質な色よりも落ち葉のようなさまざまな色が重なりあって奥行きのある色の方が「生きた色」を体験できるのだそうです。

普段、自然の色を目の中で赤・青・黄の三原色に一度分解してから認識しますが、テレビの画像はすでに三原色に分解されているので、目の役割を奪ってしまって、感覚が育つどころか衰退してしまうのだそうです!

テレビは目が悪くなる、刺激が強すぎる、というのは気にしていましたが色のことは初耳でした!

テレビではなく、本物の色を。

CDではなく本物の音を。

おもちゃは想像力を使えるシンプルで余白のあるものを。

そういう考え方を大切にしていきたいですね。

あかちゃんの可能性

シュタイナー教育では、子どもは宇宙(摂理の世界)から母親のおなかの中に降りてくると考えられています。

シュタイナーの子育て30のヒント p135

助産師としては、産道を通る時に骨を重ねられるように隙間が開いている、と学んできた大泉門。

子どもの頭蓋骨の割れ目が開いているのは、子どもが宇宙とつながっているしるし…という考え方は新鮮だなと思いました!

シュタイナーは「おとなは、顕在的に愚かな存在であり、子どもは潜在的に賢い存在だ」と言っており、子どもの持っている可能性を信じることの大切さについても書かれていました。

大人の価値観を押し付けずに、赤ちゃんや子どもがどんな世界を生きているのか、想像しながら関わっていきたいなと思いました。

おわりに

今回は私が印象に残った部分をいくつか紹介させていただきましたが、気になった方はぜひ本を手に取ってみてくださいね!

以前紹介した、いい親よりも大切なこともこの本と共通しているところがあったので、今回の内容で共感いただけた方にはおすすめです。

ブログを書いておいてなんですが、スマホで文章を読むのと、実際手に取り、自分で本を読むのとでは、心への響き方が違うと思います。

これまでいくつか育児本を紹介してきましたが、相性や共感の度合いも様々だと思うので…

ちょっと悩んだときに読み返せるような、心の支えになるような本に出会えるといいなと思っています!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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